上高地といえば、北アルプスの雄大な山々と、透き通った梓川の絶景。せっかくここまで来たのだから、最高の景色の中でランチを楽しみたいですよね?
でも、ちょっと待ってください。
「上高地のランチって、高くないですか?」
そう、実はこれ、多くの方が感じている悩みなんです。私も初めて上高地に行った時、レストランのメニュー表を見て「え、カレーで1,800円…?」と固まった記憶があります。さらに追い打ちをかけるのが、お昼時の大行列。せっかくの貴重な滞在時間が、並んで終わってしまうのは本当にもったいないですよね。
でも、安心してください。この記事では、上高地のランチを「安く」「美味しく」「快適に」楽しむための具体的な方法をお伝えします。結論から言うと、「お弁当の持ち込み」と「テイクアウトの活用」こそが、時間もお金も節約できる最強の攻略法なんです。
数字で見る現実!上高地ランチの「相場」と「混雑」

まずは、上高地のランチ事情のリアルを数字で見てみましょう。これを知っておくと、「なんとかなるだろう」という甘い考えが吹き飛びます。
価格の壁:しっかり食べると一人2,000円オーバー
上高地で人気の「五千尺キッチン」のメニューを例に見てみましょう(2025年9月時点のメニューPDFより)。
- 五千尺特製 山賊定食:2,180円
- 黄金のバターチキンカレー:1,880円
- 信州味噌ラーメン:1,380円
おわかりでしょうか。定食をがっつり食べようとすると、一人2,000円を超えてきます。家族4人で行ったら、ランチだけで8,000円。夫婦と子ども2人なら、軽く1万円近くになることも珍しくありません。
「いや、もっと安い食堂はないの?」と思いますよね。あります。でも、油断は禁物です。
比較的リーズナブルとされる「小梨平食堂」でも、こんな具合です(2024年メニューPDFより)。
- カレーライス:1,000円
- かけうどん:700円
- 山賊焼き定食:1,500円
街中の感覚で言えば、決して安くはありませんよね。これが「山岳リゾート価格」というものです。物流コストや人件費がかかるため、ある程度は仕方がないのですが、知らずに行くと財布が軽くなります。
時間の壁:お昼のピークは30〜60分待ちも
価格だけではありません。オンシーズン(特にGWや紅葉の時期)の昼時は、人気レストランに30分〜60分の行列ができることも珍しくないんです。
ちょっと計算してみてください。上高地の滞在時間が4〜5時間だとして、そのうち1時間を「レストランの行列」に使ってしまうのは、あまりにももったいなくありませんか?その1時間があれば、明神池まで行くことができてしまいます(往復では約2時間)。時間は、お金と同じくらい貴重な資源なんです。
でも、希望はある:テイクアウトという選択肢
一方で、上高地バスターミナルにある「上高地アルピコショップ」を覗いてみると、こんな選択肢があります(公式サイト情報より)。
- そばおやき(野沢菜):250円
- 半熟卵のカレーパン:500円
- ソフトアイス:350円
おやきとカレーパンを買えば、合計750円。しっかり食べたい人でも、弁当「河童のひるめし」が1,500円で手に入ります。工夫次第で、ランチ代は大きく抑えられるんです。
【戦略A】最強コスパ!「松本・市街地」での事前調達ルート

さて、ここからが本題です。上高地でランチ代を節約するための「戦略」をお伝えしていきます。
まず、最もコスパが良いのは、上高地に入る前に、松本や周辺の市街地でお弁当を買っておくという方法です。
なぜ「事前調達」が最強なのか
理由はシンプルです。
- 選択肢が圧倒的に多い:スーパー、コンビニ、パン屋、お惣菜屋…何でもあります。
- 価格が街中価格:山賊焼弁当が500円台から手に入ることも。
- 行列に並ばずに済む:事前に買っておけば、上高地では食べるだけです。
おすすめの調達スポット
デリシア(DELICIA)松本駅前店
長野県民御用達のスーパー「デリシア」は、松本駅前にも店舗があります。営業時間は9:00〜21:00(公式店舗ページより)。
ここで手に入れたいのは、やはり長野名物の「山賊焼弁当」。にんにく醤油ダレに漬け込んだ鶏もも肉を豪快に揚げた、ボリューム満点の郷土料理です。冷めても美味しいので、お弁当にぴったりなんです。
他にも「牛乳パン」(ふわふわのパンにミルククリームがたっぷり)など、長野ならではのグルメを調達できます。
ツルヤ(TSURUYA)
もう一つの有力候補が、信州発祥のスーパー「ツルヤ」です。オリジナル商品のクオリティが高く、地元民からの圧倒的な支持を得ています。
ツルヤ並柳店は9:30〜20:00の営業(公式店舗ページより)。お弁当やお惣菜はもちろん、ドライフルーツやジャムなどのオリジナル商品はお土産にもなります。
【注意】 ツルヤなぎさ店は、店舗建て替え工事のため 2026年10月上旬まで休業中 です(ツルヤ公式案内より)。ナビで案内されても閉まっていますので、ご注意ください。
「前日購入」のすすめ
一つ、重要なアドバイスがあります。当日の朝ではなく、前日に買っておくことを強くおすすめします。
なぜなら、上高地の始発バス(沢渡発)は早朝。7時台のバスに乗ろうとすると、スーパーはまだ開いていないんです。
前日に買って、宿の冷蔵庫に入れておく。これがベストプラクティスです。翌朝、保冷バッグに入れて出発すれば、お昼まで問題なく持ちます。
駅コンビニは「最終防衛ライン」
「前日に買い忘れた!」という場合は、駅構内のコンビニが頼みの綱です。ただし、あくまで最小限の食料(おにぎり、サンドイッチ、飲み物)を確保するための「緊急手段」と考えてください。
新島々駅周辺を過ぎると、上高地に着くまでほとんど買い物できる場所がありません。「最後の砦」を逃すと、割高な現地価格に泣くことになります。
【戦略B】手ぶらでもOK!現地テイクアウト&食堂活用術

「事前に買う時間がなかった…」「やっぱり温かいものが食べたい…」
そんな方にも、ちゃんと救済策はあります。上高地に着いてからでも、工夫次第でランチ代は抑えられるんです。
「軽食×軽食」の組み合わせ術
上高地バスターミナルにある「上高地アルピコショップ」を賢く使いましょう。
例えば、こんな組み合わせはいかがですか?
- おやき(250円)+カレーパン(500円)=750円
- おやき(250円)+ソフトアイス(350円)=600円
「おやき」は長野の郷土料理で、小麦粉の生地で野沢菜などの具を包んで焼いた(または蒸した)もの。ボリュームもあり、片手で食べられるので、散策中のランチにぴったりです。
「軽食だけじゃ物足りない」という方には、「河童のひるめし」という弁当(1,500円)もあります。こちらは上高地ルミエスタホテルの特製弁当で、バスターミナル内のショップで受け取れます。人気なので、可能なら事前予約がおすすめです。
小梨平食堂:穴場の良心的価格
「やっぱり座って温かいものを食べたい」という方には、河童橋から徒歩10分ほどの場所にある「小梨平食堂」がおすすめです。
小梨平キャンプ場に併設されている食堂で、メニューはこんな感じです(2024年メニューPDFより)。
- かけうどん:700円
- カレーライス:1,000円
- おでん定食:1,000円
五千尺キッチンなどに比べると、かなりリーズナブルですよね。混雑もバスターミナル周辺より多少マシなことが多いので、時間の節約にもなります。
柔軟な「使い分け」もアリ
家族連れの場合、全員同じ選択をする必要はありません。
例えば、「大人はテイクアウトで軽く済ませて、子どもにはしっかり食堂で食べさせる」という使い分けも有効です。子どもが残しても親がカバーできますし、全体のコストを抑えながら満足度を維持できます。
ここなら空いてる!「ランチ難民」にならない場所選びマップ

さて、お弁当やテイクアウトを手に入れたとして、次の問題は「どこで食べるか」です。
「河童橋の近くで食べればいいでしょ」と思うかもしれませんが、ちょっと待ってください。実は、ここが最大の落とし穴なんです。
「河童橋のど真ん中」は捨ててください
正直に言います。河童橋周辺の超一等地は、お弁当を食べる場所としてはおすすめしません。
理由は3つあります。
- 人が多すぎる:観光客が集中する場所なので、常にガヤガヤしています。
- ベンチが常に満席:数少ないベンチは争奪戦。落ち着いて食べられません。
- 人の目が気になる:周囲の視線が多く、ゆっくりくつろげない雰囲気です。
絶景は確かに素晴らしいのですが、食事を楽しむ空間としては落第点なんです。
おすすめスポット1:小梨平キャンプ場(最強)
私が最も推すのは、河童橋から徒歩10分ほどの「小梨平キャンプ場」エリアです。
- テーブル付きベンチが多数あり、広々としている
- 日帰り客も気軽に利用できる雰囲気
- トイレ、売店もあるので安心
- 河童橋ほど混雑していない
「ちょっと歩くのは面倒」と思うかもしれませんが、10分歩くだけで天国と地獄ほどの差があります。木々に囲まれた静かな空間で、絶景を眺めながらのランチ。これこそ、お弁当派の特権です。
おすすめスポット2:明神館前
もう少し歩ける方には、河童橋から片道約60分の「明神エリア」もおすすめです。明神館の前にはテーブル付きのベンチが複数あり、明神岳の雄大な景色を眺めながら食事ができます。
ここまで歩いてくる人は「ちゃんとした装備のハイカー」が多いので、マナーも良く、静かで落ち着いた雰囲気です。
雨天・強風時の逃げ場を確保しておく
上高地の天気は変わりやすいです。晴れ予報でも、急に雨が降り出すことは珍しくありません。
お弁当を広げている途中で雨に降られると大変なので、「いざとなったら逃げ込める場所」 を頭に入れておきましょう。
- バスターミナル周辺:屋根のある休憩スペースがあります
- ビジターセンター:館内で雨宿りできます
「河童橋から離れすぎると、雨の時に困る」という点も、場所選びの基準に入れておいてください。
これだけは守って!「ゴミ・野生動物・マナー」の鉄則

お弁当を持ち込むなら、絶対に守ってほしいルールがあります。上高地は国立公園であり、美しい自然を次の世代に残すためのルールが定められています。
鉄則1:ゴミは「完全持ち帰り」
まず最も大切なこと。上高地にゴミ箱はほとんどありません。 すべてのゴミは、自分で持ち帰る必要があります。
お弁当の包装、ペットボトル、食べ残し。すべてです。
「ちょっとくらい…」と思うかもしれませんが、年間150万人以上が訪れる上高地で、一人ひとりが「ちょっとくらい」と思ったらどうなるか。想像してみてください。
汁漏れ対策は必須
特に注意してほしいのが「汁漏れ」です。お弁当の残り汁がバッグの中で漏れると、最悪の事態になります。
ジップロック(大・小)とゴミ袋を必ず持参してください。 食べ終わったお弁当箱は、すぐにジップロックに入れる。これで匂いも漏れも防げます。
鉄則2:野生動物と「距離を取る」
上高地には、サルやトンビなどの野生動物がたくさんいます。そして彼らは、「人間の食べ物」を狙っています。
サルへの対処法
上高地のサルは人慣れしており、ビニール袋の音に反応します。以下のことを心がけてください。
- サルに目を合わせない(挑発行為とみなされる)
- 食べ物を見せびらかさない
- サルの群れがいる場所では、食べ物をしまう
- 絶対に餌を与えない(30万円以下の罰金の対象になる場合も※)
※国立公園の特別地域等では、職員の指示に従わない餌付け等が罰則対象になり得ます。
トンビへの対処法
トンビは上空から急降下して、手に持った食べ物をさらっていくことがあります。
- 屋根のある場所、または木陰で食べる
- 頭上を時々確認する
- 食べ物を高く掲げない
鉄則3:植生を守る
美しい景色を守るために、歩道を外れて草むらに入ることは禁止されています。
「あそこのベンチが空いてないから、ちょっと草原で…」と思っても、ロープの外側には出ないでください。上高地の植物は、一度踏まれると回復に何年もかかる繊細な生態系なんです。
「お弁当持ち込み」への疑問に答えます

ここまで読んで、「でも、やっぱり…」と思っている方もいるかもしれません。よくある疑問にお答えしますね。
- お弁当って、貧乏くさくないですか?
-
むしろ「贅沢」です。
考えてみてください。高級レストランの窓際席より、はるかに眺めの良い「特等席」を独占できるのは、お弁当を持ち込んだ人だけの特権です。
穂高連峰を一望できるベンチで、梓川のせせらぎを聞きながら食べるおにぎり。これ以上の贅沢がありますか?
「節約=ケチ」ではありません。「行列に時間を使わない」「絶景を独り占めする」という賢い選択なんです。
- 荷物が重くなりませんか?
-
帰りは軽くなります。
確かに、行きは少し重くなります。でも、帰りはどうでしょう?お弁当は胃袋の中。残るのはゴミだけです。
バックパックに入れる分には、許容範囲の重さだと思いますよ。
- 冬場はどうすればいいですか?
-
素直に食堂へ行きましょう。
11月以降の上高地は、かなり冷え込みます。外でお弁当を広げて食べるのは、正直きついです。
寒い時期は無理せず、温かい食堂でランチを楽しんでください。上高地食堂や小梨平食堂なら、比較的リーズナブルに温かい食事ができます。
ただし、11月中旬には上高地は閉山してしまいますので、食堂が利用できるのも閉山まで、ということになります。
実践!今日からできる「上高地ランチ」準備チェックリスト

最後に、具体的な準備のチェックリストをお渡しします。上高地に行く前日と当日に、このリストを確認してみてください。
前日までにやること
- [ ] お弁当・軽食を調達した(デリシア、ツルヤなど)
- [ ] 飲み物を買った(現地は高い&自販機が少ない)
- [ ] 宿の冷蔵庫に保管した
当日持っていくもの
- [ ] ジップロック(大・小)
- [ ] ゴミ袋(2枚あると安心)
- [ ] ウェットティッシュ(手洗い場が遠い時用)
- [ ] 保冷バッグ or 保冷剤(夏場)
- [ ] レジャーシート(座る場所の選択肢を広げる)
現地での心がけ
- [ ] 河童橋周辺を避け、小梨平や明神方面で食べる
- [ ] ゴミはすべてジップロックに入れて持ち帰る
- [ ] サルやトンビに注意する
- [ ] 歩道の外に出ない
結論:浮いたお金と時間で、上高地をもっと深く楽しもう

レストランで2,000円×人数分。行列で1時間。これを「当たり前」と思っていた上高地のランチ事情も、ちょっとした工夫でガラリと変わります。
浮いた2,000円は、帰りの温泉に使うもよし、お土産に奮発するもよし。行列に使わなかった1時間は、明神池まで足を延ばしたり、素敵な写真を撮ったりする時間に変えられます。
「節約」は目的じゃありません。上高地をもっと深く楽しむための「手段」 です。
次の上高地旅では、ぜひ「賢いランチ」を試してみてください。絶景の中で食べるおにぎりの美味しさ、きっとわかっていただけると思います。
それでは、素敵な上高地旅を!

